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宮司の言葉

地主神社は建造物・
境内整備工事のため、閉⾨しています。
(工期未定・開門時期未定)

受け付けました「縁むすび特別祈願」は、
神官が毎⽇ご祈願しております。
郵送で受付中

宮司の言葉

日本で古くから信仰されてきた神さまは、太陽や山、森、木々など宇宙・世界・森羅万象に宿るとされ、八百万(やおよおよろず;非常に数が多いこと)の神ともいわれます。お米などの収穫を得るにも、日の光や雨が降ることでもたらされる水が必要なように、私たちは自然の恵み無しには、一日も生きていくことができません。科学がどんなに進歩し、社会や生活環境が激変しても、変わることのない真理といえるでしょう。古代の人々も日々の営みのなかで自然の大いなる力を感じ取り、自然への畏敬や信仰の念を持ったのです。農耕の技術や知識が発達していない古代においては、日々の糧を得るのも非常に困難であり、それだけに神様への切実な願い事は、豊作や豊漁であったことでしょう。さらには、人の命を後世へとつなぐ子孫繁栄は、いっそう大きな願いごとだったにちがいありません。日本で最も古くからお祀りされた神、原初の神々は、こうした願いをかなえる神であり、人や作物といった生命を産み出し、繁栄をもたらす神でした。また生命の誕生には2つのものを出会わせ結びつけることが必要です。そのため原初の神は、結びの神でもあったのです。

地主神社の神様は、日本でも非常に古くから祀られた古層の神、原初の神です。京都盆地は、大昔には湖に沈んでいた時代もありましたが、地主神社の境内地は、島のように陸地となっており、「蓬莱山」と呼ばれ不老長寿の霊山として信仰されていたと伝わっています。ご本殿前の「恋占いの石」も近年の研究で縄文時代の遺物とされています。こうした最古の歴史を持つ地主神社の神に古代の人々がささげた祈りは、やはり強いご霊力で命を産み出していただくこと、豊作や子孫の繁栄であったことでしょう。子孫繁栄には男女を巡り合わせ結びつけねばなりません。ですから原初の神である地主神社の神様は、縁をとりもつ結びの神、縁結びの神でもあったのです。

現代の皆様の願い事は、受験合格や商売繁盛、健康長寿など様々おありかと思います。しかしどんな願いごとよりも、まずはお一人お一人が命を授かること、この世に生をお受けになることが大前提ではないでしょうか?命を産み出し、命を授かるには、人と人との結びつきが不可欠であり、そう考えますと、どのお願いごとよりまず最初のお願いごとは、人と人との縁、つまりは出会いや絆であり、古代の人々と同様に「縁結び」ということになります。また男女の縁に限らず、私たちが幸福をえるには、日々良いご縁を授からねばなりません。仕事であれば、良い上司に巡りあうこと、良い取引相手に出会うこと。学生の方なら、良い先生や友人に恵まれること。是非ご縁や絆の大切さを心に刻んでいただき、古来より信仰の篤い地主神社の神様に縁結びの信心を深めていただきたいと思います。

近年、地主神社のご神徳は海外にも広がり、アジア・欧米を始め世界各地からご参拝をいただいています。日本古来の神様が海外でも理解され、ご信仰いただくことは、非常に意義深いことであり、喜ばしく思います。さらにこの信仰の輪が世界のすみずみまでおよび、世界中の人々がご縁を深め、強い絆で結ばれ、平和で愛に満ちた世の中となりますことを、心より願っています。

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今月の宮司の言葉

令和7年12月 「新年の干支 午(うま)」「干支絵馬」「大国主命」「冬至」

 早いもので今年も師走となりました。
 12月1日より来る年の開運招福を願って新年の干支である「午(うま)」のエト絵馬を郵送にて授与いたします。どうぞぜひお授かりくださいませ。

 来年の干支である「うま」は古くから日本にいた動物で『古事記』にも登場します。地主神社の主祭神である大国主命(おおくにぬしのみこと)が馬に乗って旅立つ場面です。

  よそひ立ちし時に、片つ御手(みて)は御馬(みうま)の桉(くら)にかけ、片つ御足(みあし)はその御鐙(みあぶみ)に蹈(ふ)み入れて(古事記)
  (準備をととのえて出発しようとした時に、片方の御手は御馬の鞍にかけ、片方の御足はその御鐙に踏み入れて)

 今のような交通機関がなかった昔は移動手段といえば馬がたよりでした。『万葉集』では馬の足音に恋人の訪れを思う歌も詠まれています。

  馬の音のとどともすれば松陰に出(い)でてそ見つるけだし君かと(万葉集)
  (馬の足音が聞こえると松の木陰に出て見ます、もしやあなたかもしれないと思って)

 暮らしに欠かせない馬は神さまのお使いとされ、願いごとをするときには神馬を捧げました。やがて板に馬の絵を描いて奉納するようになり、絵馬となったといわれます。
 『今昔物語集』には、こわれた絵馬を直す場面も描かれています。

  板に書きたる絵馬あり。(中略)破れたるを糸を以て綴(つづ)りて(今昔物語集)
  (板にかいた絵馬がある。(中略)その絵馬のこわれたところを糸でつくろって)

 地主神社は建造物・境内整備工事のため閉門しておりますが、恋愛成就や家族の健康をねがうお守りご祈願についても郵送で受け付けております。全国から郵送で寄せられるご祈願の一つひとつについて神官がお名前、ご住所、生年月日を読み上げ、神さまに縁結びや開運招福を祈願しております。

 12月22日は冬至。夜が最も長い日です。この日を境に少しずつ日は長くなる一方で寒さは深まります。この寒さにあうことで桜は春に咲かせる蕾の準備を始めるのだそうです。

  花のさかりは、冬至より百五十日(徒然草)
  (桜の花盛りは冬至から百五十日)

 何かとあわただしい年の瀬、どうぞおからだにお気をつけて良いお年をお迎えくださいませ。おしあわせに。
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