令和8年6月 「梅雨」「梅干し」「歯と口の健康週間」「夏至」
青々と実った梅の果実が黄色く熟する季節となりました。自家製の梅シロップや梅干しづくりを楽しむ方もおられることでしょう。
「梅雨」を「梅の雨」と書くのは、梅の実が熟する季節に降る雨であるからともいわれます。
梅干しは平安時代から薬や保存食として重用されました。清少納言が著した『枕草子』には、梅干しを味わう人の姿も登場します。
歯もなき女の梅(むめ)食ひて酸がりたる(枕草子)
(歯も無い老女が梅干しを食べて酸っぱがっている姿)。
梅干しを味わって「酸っぱい!」という顔をするのは今も昔も同じだったようです。
そして6月4日から10日は「歯と口の健康週間」。もともと6月4日は「6(む)4(し)」の語呂合わせで「虫歯予防デー」でした。
紫式部も『源氏物語』のなかで虫歯のある子どもの姿を描いています。
御歯のすこし朽ちて、口の内黒みて、笑みたまへるかをりうつくしき(源氏物語)
(御歯が少し虫歯になって、お口の中が黒くなってほほ笑んでおいでになる、そのお美しさ、愛らしさ)
この子どもは帝の御子で、幼い頃の光源氏に瓜二つとされます。物語のなかでは虫歯も美しいとたたえられましたが、やはり歯はいつまでも大切にしたいものですね。
地主神社は建造物・境内整備工事のため閉門しておりますが、
恋愛成就や家族の健康をねがうお守り、
ご祈願についても郵送で受け付けております。全国から郵送で寄せられるご祈願の一つひとつについて神官がお名前、ご住所、生年月日を読み上げ、神さまに縁結びや開運招福を祈願しております。
6月21日は、夏至。一年で夜が最も短くなるときです。
ぬばたまのこの夜(よ)な明けそ赤らひく朝行く君を待たば苦しも(万葉集)
(夜よ明けないで。朝とともに行ってしまうあなたを、次に会える日まで待つのがつらいから)
これから夏に向かう6月は、一年の折り返し地点。梅雨から夏へ、移ろいゆく季節のなかでどうぞお健やかに、すばらしいご縁が訪れますように。おしあわせに。
令和8年5月 「早苗月」「端午の節句」「菖蒲の節句」「薬猟」「初鰹」
風薫る爽やかな季節となりました。
5月5日は端午の節句。別名を「菖蒲(しょうぶ)の節句」といいます。
ショウブはその爽やかな香りで邪気を払う薬草とされ、端午の節句には軒につるすなどして無病息災を願いました。この日はもともと「薬猟(くすりがり)」といって野に出てショウブをはじめとするさまざまな薬草を採集する日でもありました。
日本最古の歴史書である『日本書紀』には日本最古の薬猟の記録も残っています。
五月の五日に、(中略)薬猟す。(日本書紀)
(5月5日に薬狩をする)
5月5日は立夏でもあります。暦の上ではもう夏です。
江戸時代の俳人・山口素堂(やまぐちそどう)は、3つの風物をあげて初夏の爽やかさを詠みました。
目には青葉(あおば)山ほととぎす初松魚(はつがつを)(山口素堂)
(目に見えるのは新緑の青葉、耳に聞こえるのはホトトギスの声、そして舌には初鰹を味わう初夏である)
水揚げされたばかりの初鰹は「早馬(はやうま)」といって、急ぎの用事で走らせる馬で運ばれました。
江戸時代の歌人・楫取魚彦(かとり・なひこ)は、恋にはやる心を早馬になぞらえた和歌も詠んでいます。
うまや路(じ)のはゆまうまやの早馬のはやくぞ人をおもひそめつる(楫取魚彦)
(街道の駅(うまや)にいる早馬がはやく走るように、はやくもあの人を見初(みそ)めてしまったことです)
地主神社は建造物・境内整備工事のため閉門しておりますが、
恋愛成就や家族の健康をねがうお守り、
ご祈願についても郵送で受け付けております。全国から郵送で寄せられるご祈願の一つひとつについて神官がお名前、ご住所、生年月日を読み上げ、神さまに縁結びや開運招福を祈願しております。
万物の生命力が夏へと満ちあふれるこの季節、どうぞ皆さまのもとにも素晴らしいご縁が育まれますように。おしあわせに。
令和8年4月 「桜」「花見」「桜狩」「春雨」「穀雨」
4月はお花見の季節。花の宴を楽しむ方もおられることでしょう。花の下では味わうものすべてが美しく映えるごちそうです。
江戸時代の俳人・松尾芭蕉も「何をいただいても桜になる」という句を詠んでいます。
木(こ)のもとに汁も膾(なます)も桜かな(松尾芭蕉)
(桜の木の下で花見をしていると汁にも膾にも桜の花びらが散りかかって何もかも桜になってしまうようだ)
ところで春のお花見に対して秋は紅葉狩といいますが、桜の季節にも「桜狩」があるのをご存じですか。
平安時代の『拾遺和歌集』には、野山を散策しながら桜を観賞する桜狩の歌も収められています。
桜狩(さくらがり)雨は降りきぬおなじくは濡(ぬ)るとも花のかげに隠れむ(拾遺和歌集)
(桜狩をして野山を歩いていると雨が降ってきた。同じ濡れるなら花のかげに隠れよう)
地主神社は社殿修復工事のため終日閉門しておりますが、
恋愛成就や家族の健康をねがうお守り、
ご祈願についても郵送で受け付けております。全国から郵送で寄せられるご祈願の一つひとつについて神官がお名前、ご住所、生年月日を読み上げ、神さまに縁結びや開運招福を祈願しております。
4月20日は二十四節気の「穀雨(こくう)」。大地を潤し百穀に実りをもたらす恵みの雨です。
思ひあまりそなたの空をながむれば霞(かすみ)を分けて春雨(はるさめ)ぞ降る(新古今和歌集)
(恋しさにたえかねてあなたがいる方の空を見つめていると霞を分けて春雨が降ることです)
恋しい思いがつのるとき、そして未来への希望に胸がふくらむときは、どうぞ地主神社まで郵送にてお守りやご祈願をお申し付けくださいませ。この春も皆様に素晴らしいご縁が訪れますように。おしあわせに。
令和8年3月 「卒業」「寺子屋」「春分」「桜始開」
3月といえば年度末、そして「卒業」を思い出される方もおられることでしょう。
「卒業」はもともと「一つの事業を終える」という意味で、「学業を終える」という意味で用いられるようになったのは明治時代に学校制度が始まってからのことです。
ところが面白いことに江戸時代の娯楽小説には「早卒業」と書いて「早じまい」と読ませ、江戸時代の学校である寺子屋を早退してしまうという困った主人公も登場します。
けふも亦(また)早卒業(はやじまひ)、翌(あす)も亦早卒業、といひこしらへて寺にはをらず(近世説美少年録)
(今日もまた早じまい、明日もまた早じまい、と言いつくろって寺子屋にいない)
そんな人間をよそに新たな季節にむけた「卒業」へと歩みをすすめているのが太陽です。
3月20日は「春分の日」。太陽が真東から出て真西へ沈みます。そして昼と夜の長さが同じになり、少しずつ日が長くなっていきます。
菜の花や月は東に日は西に(与謝蕪村)
(一面の菜の花の上で月は東に昇り、太陽は西に沈んでいる)
地主神社は社殿修復工事のため終日閉門しておりますが、
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ご祈願についても郵送で受け付けております。全国から郵送で寄せられるご祈願の一つひとつについて神官がお名前、ご住所、生年月日を読み上げ、神さまに縁結びや開運招福を祈願しております。
そして間もなく新年度、桜の季節はすぐそこです。
3月26日は「桜始開」(さくらはじめてひらく)。七十二候では桜の花が咲き始めるとされる頃です。
我(わ)が背子(せこ)が古き垣内(かきつ)の桜花(さくらばな)いまだ含(ふふ)めり一目見に来(こ)ね(万葉集)
(あなたの以前のお屋敷の庭の桜はまだつぼみのままです、一目見にいらっしゃい)
どうぞふくらんだつぼみが花開くように、皆さまのもとにすばらしいご縁が訪れますように。おしあわせに。
冬から春へ、どうぞ季節の変わり目もお健やかに、素晴らしいご縁がありますように。おしあわせに。
令和8年2月 「節分」「立春」「旧正月」「土脉潤起」
2月3日は節分。「節分」は「季節を分ける」という意味で、立春の前日となる2月3日は「冬と春の分かれ目」です。
昔の宮中では立春だけでなく立夏や立秋、立冬の前日にも節分の行事がありました。
平安時代の歴史物語である『栄花物語』には「秋の節分」も登場します。
秋の節分にいととく入りぬべければ(栄花物語)
((殿下は)秋の節分のために急ぎお帰りにならなければならないとのことで)
春の節分が重んじられるようになったのは、春の節分を「年と年の分かれ目」とする考え方もあったことに由来します。
旧暦では春の節分と新年が同時に訪れることもあり、『古今和歌集』では、さらに新年より先に節分がきてしまったという驚きの歌も詠まれました。
年のうちに春は来(き)にけりひととせを去年(こぞ)とやいはむ今年とやいはむ(古今和歌集)
(まだ年内なのにもう春が来てしまった。この一年を去年といおうか、それとも今年といおうか)
今年の旧正月は2月17日。この機にあらためて新年の志や計画を振り返ってみるのもよいかもしれません。
2月18日は七十二候の「土脉潤起」(つちのしょううるおいおこる)。春雨によって大地が潤いはじめるとされる頃です。
春雨を待つとにしあらし我がやどの若木の梅もいまだ含(ふふ)めり(万葉集)
(春雨を待つということなのでしょう、わが宿の若木の梅もまだつぼみです)
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冬から春へ、どうぞ季節の変わり目もお健やかに、素晴らしいご縁がありますように。おしあわせに。
令和8年1月 「正月」「門松」「松の内」「しめの内」「注連飾り」「大寒」
あけましておめでとうございます。
お正月は門松を立てて年神様をお迎えします。
吉田兼好の随筆『徒然草』には、門松が立ち並ぶ町の様子も描かれています。
大路(おほち)のさま、松立てわたしてはなやかにうれしげなるこそ、またあはれなれ。(徒然草)
(大路の様子は門松を立てならべて華やかに嬉しそうに見えて、そのありさまこそまた趣深いものだ)
門松を立てておく期間を「松の内」、または注連(しめ)飾りをすることから「しめの内」ともいいます。もともと「しめ」は神さまがいらっしゃる所を示すもので、縄を張ったり木を立てたり草を結んだりしました。
源実朝の歌集『金槐和歌集』では注連縄を詠み込んだ歌も詠まれました。
み熊野のなちのお山にひくしめのうちはへてのみおつる滝かな(金槐和歌集)
(熊野の那智のお山に引く注連縄(しめなわ)のように長く引き延ばされて落ちる滝であることだなあ)
寒い冬も緑をたやさない松の生命力にあやかり、安全や幸いを祈って松の枝を結ぶこともありました。
八千種(やちくさ)の花は移ろふ常磐(ときは)なる松のさ枝をわれは結ばな(万葉集)
(花はどれもみな色あせてしまうから、いつまでも色が変わらない常緑の松の枝を私たちは結びましょう)
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松の内が明けると1月20日は「大寒」。一年で最も寒いとされる頃です。
其の時、大寒の比也、夜極めて寒し(今昔物語集)
(そのときは大寒の頃で夜はたいへん寒い)
どうぞ温かくしてお健やかにおすごしくださいませ。
本年も皆様に素晴らしいご縁が結ばれますように。おしあわせに。