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七夕特集

世界の七夕伝説

中国の七夕伝説Legend of China

広い中国にはいく種類もの七夕伝説が語り継がれています。
今回はその中でも一般的に伝わっている中国の七夕伝説を紹介します。

はるか昔、天上の東方に美しい天女の七人姉妹が住んでいました。
彼女たちの織る布は幾重にも重なる美しい雲のようで、その布からできた衣は“天衣(てんい)”とよばれ、羽織れば天地の間を思うままに行き来できるというものでした。ある日、天女のひとりが言いました。
「この天衣を羽織って地上に行き、水浴びをしましょうよ」

いっぽう地上では、一人の若者が年老いた牛とともに貧しい暮らしをしていました。若者は両親を早くに亡くし兄夫婦と一緒に暮らしていましたが、兄夫婦に毎日のようにいじめられ、とうとうある日「お前にこの老いぼれ牛をやるから、さっさと出て行け!」と家を追い出されてしまったのです。
若者と牛は寄り添いあって細々と暮らしていましたが、ある日突然その年老いた牛が言葉を話しこう言いました。
「今日は天上の美しい天女たちが、地上に降りてきて川で水浴びをするはずです。その間にそっと天衣を盗んでしまえば、天女は天に戻れずあなたの妻になるでしょう」

それを聞いた若者は、川のほとりで天女たちが降りてくるのを木陰に隠れてじっと待っていました。すると、牛が言ったとおり7人の天女たちが次々と地上に降り立ち、楽しそうに水浴びを始めました。天衣は若者がいる場所から少し離れていて、取ろうとすると姿を見られます。
「そうだ、すばやく飛び出して一気に天衣を奪うとしよう。それしかない」

若者は隠れていた木陰から飛び出し、すばやく天衣を一枚を奪い取りました。突然男が現れたことに驚いた天女たちは、次々と天衣を手に取り逃げていきましたが、若者に天衣を奪われた末の妹だけは天へ戻ることができません。
天に帰ることをあきらめた天女は、若者の妻となりました。そうして若者は田畑を耕し、天女ははたを織って暮らしました。やがて息子と娘の二人の子供が生まれ、4人は幸せな生活を送っていました。
ところがある日若者が家に帰ってみると、家の中はがらんとして二人の子供が泣きじゃくっています。いつまで経っても戻ってこない天女に天の上帝が怒り、神兵を送って天女を連れ帰ってしまったのです。若者がぼうぜんとしていると、年老いた牛が言いました。
「天女を追いかけるのです。人間は天に昇ることはできませんが、一つだけ方法があります。私を殺して皮をはぎ、その皮をまとうのです。年老いて働くことができない私を、あなたは大切にしてくれました。私のできるご恩返しはそれしかないのです。さぁ、早く殺しなさい」

若者はずっと自分のために働いてくれて、天女と結婚できたのもこの牛のおかげだと思うと、とうてい殺すことなんてできません。若者が迷っていると、牛は自ら柱に頭を打ちつけて死んでしまいました。若者は泣きながら牛の皮をはいでまとい、二人の子供をかごに入れて担ぐと、天に昇って行きました。

上へ上へ昇っていくと、神兵に連れられて行く天女の姿が見えてきました。やっとのことで追いつき子供たちが手を伸ばして母親のたもとをひっぱろうとした時、天の一角から巨大な手が伸びてきて天女と若者たちの間にさっと一本の筋をひきました。
それは上帝の妹である西王母の手で、頭につけていた金のかんざしを抜いて、それで天に筋をひいたのでした。
するとたちまちそこから水が溢れ出して大河となり、若者と天女の間はとても大きく広がってしまいました。それを見た小さな娘が言いました。
「そうだ、ひしゃくで川の水をすくい取ろうよ」
すぐに父と二人の子供は流れる銀河の水を一杯一杯すくい始めました。これを見た上帝は、妻に対する若者の愛情と母を慕う子供たちのけなげさに心打たれ、毎年七月七日の夜だけ夫婦親子が川を渡って会う事を許したのでした。

今も空には金のかんざしのようにキラキラと光る天の川を挟んで、若者(牽牛星)と天女(織女星)の星がきらめいています。そして牽牛星の隣に並ぶ二つの小さな星が二人の子供、牽牛星の少し離れたところに見えるひし形に並んだ四つの小さい星が追いかけてくる若者に天女が投げた杼(ひ)※というはた織りの道具、織女星の近くにある三つの小さい星が若者が天女に投げた牛のくるぶしの骨だと言われています。

※杼(ひ)・・・はた織りのさい、糸を通す道具の一つ。

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