世界の神話や伝説、神への信仰に不思議な共通点がみられる
ことが、少なくありません。そうした信仰一つに、蛇への信仰
があります。古代エジプトで蛇が権威の象徴であったり、
マヤ文明など、非常に古い時代、世界の各地で蛇への信仰が
あったといわれています。
古代日本の各地でも蛇への強い信仰がありました。
沖縄、奄美や宮古島などにも蛇に関する伝承が数多く残されています。
これらの伝承と、奈良県三輪の蛇信仰に共通点がみられたり、
三輪と諏訪の蛇信仰にも関連があるとされます。
現在でも、蛇信仰の名残が神道の儀式には残されています。
たとえば、しめ縄の形は蛇の交尾を象ったものではないかとする説が
あります。蛇をカカシということがありますが、田んぼのカカシも元は蛇信仰
に由来する山の神であるともいわれます。
蛇に対し、おそらく良いイメージをお持ちの方は、少ないと思います。
しかし一方で、蛇をヌシとして殺生を慎んだり、蛇が脱皮した皮を
金運のお守りとして、財布に忍ばせる方もおられるでしょう。
世界各地に広がる蛇への信仰、また蛇に対する嫌悪と畏敬
こうした信仰のありように、私たちの原初の宗教観、あるいは
信仰のあるなしにかかわらず、すべての人の深層にある神への
観念を見て取れるのではないかと思います。
このお話をもう少し続けたいと思います。